海上自衛隊のトマホーク発射PV風動画に賛否 小泉防衛相は絶賛も「戦争美化」批判
海上自衛隊の公式Xが8月3日に投稿した、アメリカ製長距離巡航ミサイル「トマホーク」の発射試験を収めた動画が、ネット上で大きな議論を呼んでいる。
イージス艦「ちょうかい」が7月29日に太平洋上で実施した初の実射試験の模様を、約47秒に編集したこの映像。至近距離から捉えたトマホークの打ち上げシーンでスタートし、艦内の隊員たちの緊張感あふれる様子が映し出される。「トマホーク レディ」「戦闘用意」「発射用意」「撃てー」といった号令が飛び交い、BGMが流れる演出は、まるで映画のワンシーンやプロモーションビデオのような仕上がりだ。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro これに対し、小泉進次郎防衛相は8月4日、自身のXで「昨日はこの動画を海上自衛隊の護衛艦「ちょうかい」の艦長以下乗員のみんなと一緒にみて、トマホークミサイルの実射試験成功を喜び合いました。ぜひご覧ください。これからも着実に日本の抑止力を強化し、平和を守り抜く決意です」とリプライ。事実上の絶賛コメントを寄せた。
しかし、SNS上では反応が真っ二つに割れている。「すごい!最初何かの映画かと思ったら実物の実映像!」「本当に頼もしい限り」と好意的な声がある一方で、「BGM付きで戦争を美化しないでほしい。防衛?この動画が抑止力になるとでも?」「人命を奪うための兵器を「かっこいい」と感じさせるようなこの動画に、強い嫌悪感を覚える。熊本地震で自衛隊さんにお世話になってるのに、とても悲しい」といった批判も相次いだ。
元幹部自衛官は「海上自衛隊は以前から陸自や空自と違って、発想が斬新というか、新しいことをやりたがる組織。できるだけ多くの人に見てもらおうという意図で作成したのでしょう。広報活動の一環だと思います。ただ、戦争の放棄を定めた日本国憲法のもとで生きてきた国民ですから、抵抗感を覚える人も相当数いるでしょうね」と分析する。
一方、政治部記者は「プロモーションビデオ風といえば、8月3日に首相官邸のXアカウントが、高市早苗首相が熊本地震による被災状況視察を伝える動画を投稿しました。ピアノのBGMが流れ、様々な撮影・編集技法が駆使されており、高市氏の政治的パフォーマンスに利用しているとも捉えられる動画に仕上がっていました。そのせいかX上では「被災地を自己PRに使うな」などと批判的な声が多く出ています」と指摘する。
本誌が防衛省報道室に問い合わせたところ、海上幕僚監部広報室からは「本動画は防衛省として取り組んでいるスタンド・オフ防衛能力整備の一環であるトマホーク事業に関して、実射試験の様子を撮影・編集した映像であり、トマホーク事業の進捗状況を、国民の皆様に分かりやすくお伝えすることを目的としております。様々なご意見があることは承知しています。その上で、海上自衛隊としては、引き続き、平素から自衛隊の活動や防衛力整備の取組について、国民の皆様に正しい情報を分かりやすくお伝えできるよう、適切な情報発信に努めてまいります」との回答があった。
果たして「分かりやすく伝える」ためにBGMは必要だったのか。国民の防衛意識が問われる中、賛否両論を巻き起こしたこの動画は、今後も議論を呼びそうだ。
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