要介護5の志茂田景樹氏86歳、妻への思い「壊れない絆で結ばれている」介護小説執筆への意欲も
作家の志茂田景樹さん(86)が、自宅で本誌のインタビューに応じた。1980年に小説『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞し、その後は奇抜なファッションとキャラクターでバラエティ番組でも活躍した志茂田さん。現在は「要介護5」の認定を受けながらも、ベッドの上で自らを語る姿は、衰えを知らない現役作家の顔だった。
志茂田さんは2016年頃からジョギング中に右膝の違和感を覚え、2017年に関節リウマチを発症。さらに生まれつきと思われる呼吸器疾患(気管支拡張症)も抱え、2つの難治性疾患が絡み合っているという。2019年には転倒による腰椎の圧迫骨折で車椅子生活となり「要介護3」の認定を受け、2024年に「要介護5」へと引き上げられた。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 現在は両手の可動域が大きく制限され、「これ(以上)動かすと大体は激痛が走ります」と明かす。食事もフォーク1本で食べられるものに限られるが、妻・光子さん(78)がご飯を一口サイズの海苔巻きにしてくれるなど、細やかなサポートが日常を支えている。「(妻は)お母さんでもあるし、友達でもあるし、年季のいった夫婦でもあるし。壊れない絆で結ばれている、僕にとっては尊い存在だと思います」と語る姿に、長年連れ添った夫婦の深い絆が感じられた。
老老介護の現実の中でも「落ち込むことは、あまりないですね」と話す志茂田さん。その前向きさを支えているのが、毎日欠かさず続けるX(旧ツイッター)への投稿だ。「僕のSNSを待ってくれている人がいるんでね。割と楽しみにやっています」「どんな状況でも、その中でのプラスを探す、見過ごしているものを大事にして前を向いています」と語る。投稿には「今の僕は籠の鳥です(笑)」といった言葉も綴られており、限られた環境の中でイメージを広げる豊かさを発信し続けている。
作家としての執筆活動も続けており、現在はノートパソコンを使い1日平均30分、400字から600字のペースで長編小説を執筆中だ。「チリも積もれば山となるで、1日300〜400字ずつでも、1年半書ければ長編の1冊になります」と、指の動きに制限がある中でも「こういう悪条件下の中でも、楽しんで能率が上がらなくても楽しんでやってます」と笑う。
今後は長編小説を2作書き上げることを目標に掲げ、特に意欲を見せるのが『介護小説』だ。「若い介護ヘルパーの恋愛なども描きながら、今の介護の問題を掘り下げてみようかな。介護の世界を前向きに捉えている、そういう小説を書いておきたい」と明かす。
最後に、同じように困難な状況にある人々へ向けてこうメッセージを送った。「今がへこんでいる状態でも、今の自分をよく探せば、絶対に成長していく芽というものがあるんで。それを見つけろということです。今この一瞬を一番大切にしてごらんと。必ず大きな成長をもたらす発見があるはずだ」
「要介護5の男性の平均余命というのが出ているんですが、もうそれをはるかに過ぎてね。あと、どれだけか分かりませんけどね」と話す志茂田さん。それでも前を向き続けるその姿勢は、多くの人の心に響くメッセージとなっている。
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