90歳の看板娘が作る「抹茶あずきかき氷」が大人気 女性三代で営む甘味処の秘密
静岡県藤枝市の旧東海道沿いにある甘味処「まるか村松商店」が、この夏も連日賑わいを見せている。看板商品は「抹茶あずきかき氷」。ふんわり削った氷に甘露を含ませ、地元・藤枝産の抹茶をかけ、やわらかめに炊いたあんこをのせた一品だ。多い日には一日200杯の注文が入るという。
この店の厨房に立つのは、村松加寿子さん、90歳。店では“看板娘”と呼ばれ、朝7時から釜と向き合う。北海道産の小豆を水から火にかけ、沸いたら一度火を止めて30分ほどおき、豆をふくらませる。最初の煮汁はあく抜きで流し、再び水を入れてやわらかくなるまで煮る。指でつぶれるころ合いを見てザラメを加え、さらに水飴を流し入れる。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 「お砂糖を入れたら、もう離れられないです。焦げちゃうからね」と、加寿子さんは木べらを握る手を休めずに淡々と語る。
店の歴史は明治末期に創業したお茶屋にさかのぼる。現在は加寿子さん、娘の弘美さん(66)、孫の加奈子さん(36)の女性三世代がつないでいる。店を切り盛りする弘美さんは「本業はお茶屋です。お茶の小売と地方発送をやっています。でも、よろず屋ですね。お茶に合う甘味も一緒にと、大判焼き、団子を売り出しました。冬はおでんも。そして今の一番の売りがかき氷です」と話す。
店内には洋菓子が並ぶ冷蔵ケースの横に駄菓子や地元の野菜を売るコーナーがあり、テーブル2卓と小上がりには卓袱台。お茶を袋詰めする機械も置かれ、昭和の雰囲気が濃い。
常連客のひとり、静岡大学名誉教授の土居英二さん(79)は「私はじつは糖尿病を患っているから甘い物は控えているんです。でも、一人暮らしの私は、ここへ来ないと、一日誰とも話さない。いつも温かく迎え入れてくれて、家族の団らんを味わえるから、毎日来ているんです。また家から15分ほど歩いて来るから軽い運動にもなる。それに加えて、この店のあんこを食べても血糖値が上がらない。不思議でしょう。この店のあんこにはくどい甘さがない。それでいてしっかりした芯がある。ただ甘いだけじゃないんです」と語る。
加寿子さんは「今日はかき氷用のあんこを多めに作ります。同じあんこでも、大判焼きなら、皮の中で熱を受け止めるため少し硬めに。団子やおはぎなら、粘りが出るように、もう少し炊いていきます。かき氷には少しゆるめに炊いたほうがいいの。さあ、もうそろそろ仕上げです」と、用途に応じて炊き加減を変えるこだわりを見せる。
天気予報では今日も30度以上。この地域で暑さを表現する“ぬくとい”を超えて“ばか暑い”日になりそうだ。それでも、加寿子さんのあんこを求めて、今日も客が足を運ぶ。
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